H22年度 鹿児島県自然愛護協会研究発表会のご案内

 H22年度の研究発表会は3件を予定しています。会員以外の方の参加も可能です。みなさまのご参加をお待ちしております。

日時:平成23年5月25日(水)19:00ー20:30

場所:鹿児島大学水産学部一号館2F大会議室(鹿児島市下荒田4-50-20)

スケジュール
19:00ー19:30 総会

19:30ー20:30 研究発表会

■発表タイトル

発表1:北限域のマングローブ林における底生生物相:亜熱帯との比較/林 真由美(鹿児島水族館)

発表2:シラスは方言;入戸火砕流の性質/大木公彦(鹿児島大学総合研究博物館)

発表3:コテングコウモリの活動期における雌雄のねぐら利用と移動パターン/船越公威(鹿児島国際大学)

発表要旨

発表1
「北限域のマングローブ林における底生生物相:亜熱帯との比較」
林 真由美(鹿児島水族館)

 本研究の目的は、底生生物によるマングローブ林というハビタットの利用パターンが、亜熱帯域と温帯域でどう異なるかを明らかにすることである。鹿児島市喜入はマングローブ分布の北限とされるが、本来マングローブが生育する気候ではないため、熱帯・亜熱帯域とは異なる利用をされている可能性がある。そこで、マングローブ及びそれに続く干潟で底生生物の分布を調査し、両ハビタットにおける底生生物相の相違について考察した。
 2010年6月28、29日、7月26日に、鹿児島市喜入町石油コンビナート横の愛宕川河口域に広がるマングローブ林で、2010年9月6、7、8日には、奄美大島住用川・役勝川河口域に広がるマングローブ林で調査を行った。両調査地において、河川と直交方向にラインを引き、それぞれのラインに調査地点を等間隔になるように設置した。直径17cmの塩ビパイプ(コア)を1調査地点に5個ずつ置き、その中の堆積物を10cmの深さまで採集して1mmメッシュの篩で篩い、残った生物を採集した。
 その結果、喜入では25種の底生生物が確認された。内訳は軟体動物16、多毛類3、甲殻類6である。マングローブと干潟の共通種は16種であった。奄美調査では24種の底生生物が確認された。内訳は軟体動物5、多毛類1、甲殻類18であり、マングローブと干潟の共通種は9種であった。

発表2
「シラスは方言;入戸火砕流の性質」
大木公彦(鹿児島大学総合研究博物館)

  シラス台地という言葉は、全国で使われている教科書に載っている。しかし、シラス台地という言葉は田んぼが作れない土地、災害の多い場所など、どちらかと言えば悪いイメージで使われている。シラスは素晴らしい資源でもあることを日本中の子ども達に知ってほしいが、その前にシラスの地質学的特徴を理解させることがたいへん重要だと考える。ここでは、シラスと呼ばれた地層を知り、活かすという視点から、シラスと呼ばれる火砕流堆積物の特徴について報告したい。

発表3
「コテングコウモリの活動期における雌雄のねぐら利用と移動パターン」

船越公威・玉利高志(鹿児島国際大学)

 コテングコウモリMurina ussuriensisのねぐら利用については、主にアカメガシワトラップ法(船越他、2009参照)で調査し、行動域については、小型発信機装着による個体追跡によって調査した。調査地は鹿児島県霧島神宮周辺地域と宮崎県高原町の御池周辺地域である。アカメガシワトラップ法の調査結果から、雄は排他的でこの枯葉のねぐらを単独で利用していて、経年におけるねぐら間の最大移動距離が444mに及ぶ個体もいた。また、再捕獲の多くは雄で、個体によっては比較的狭い行動域の中で、同じ地点のねぐらを頻繁に利用していた。発信機装着個体の追跡から、採餌はねぐら場所周辺で行なっていた。ねぐら場所は樹皮の裏,樹洞,群葉,枯葉を利用し,頻繁に場所を替えるが、同じねぐらを頻繁に利用する個体もいた。一方、雌のねぐら間の最大移動距離(119~368m)が雄(85~186m)に比べて長い傾向があり、行動圏も広いと考えられる。妊娠後期~哺育期に雌は小集団を形成しているが、ねぐらを頻繁に変え、主に樹洞を利用していた。哺育終了後(8月以降)は集団を解消し、母獣や独立飛翔の幼獣は、雄と同様に単独でねぐらを利用していた。