7月25日(日)に鹿児島大学水産学部で開催した三学会合同例会では、35名の方々にご参加いただき、様々な情報交換や議論を行うことができました。講演では、近年鹿児島で問題になった外来種アフリカマイマイやマングースについて、その実態と今後対応していく上で必要と考えられることや、外来種根絶の具体的な方法論、外来種問題の基本的な考え方などについて、最前線の研究成果を交えて紹介していただきました。
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質疑応答と議論の中で出席者の皆さんから出されたご質問やご意見を以下に紹介します(順不同)。
・新しい外来種が発見された時はマスコミ等で派手に取り上げられるが、根絶された時はまったくアナウンスされないのは問題。風評被害をおさえるといった意味でも、きちんとアナウンスすべきである。
・マスコミの影響は大きいので、その報道スタンスに対して、ことら側からも評価や批判をしていくべきである。
・多くの外来種がペットとして持ち込まれ、野外に広がっているにもかかわらず、外来種がもたらす問題や外来生物法、特定外来生物について知っている人は少ない。外来種の移入や根絶における個人の役割を捉え直す必要があるのでは?
・ペット等の問題はもはや個人のモラルに期待できる段階ではなく、個人では対処できない状況も発生している。流通や飼育の規制など、業界を含めた体制づくりを考えるべき。
・在来種にふれた実体験のない中高生に、外来種問題や在来生態系保護の必要性をどう説明すれば良いだろうか?
・外来種根絶のために、例えばため池の水抜きのように在来種も巻き添えにしかねない思い切った方法をとっても良いものだろうか?
・今回の講演は動物中心だったが、植物の外来種問題は密かにもっと深刻な状態に進んでいるかも知れない。
・鹿児島は熱帯・亜熱帯性の昆虫外来種の移入にさらされる環境にある。もっと外来種問題について情報発信すべきである。
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今年10月には、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が愛知県名古屋市で開催されます。外来種は生物多様性に対する脅威のひとつと考えられていますが、この問題の解決に向けて何より重要なのは、情報の共有化ではないかと思っています。そこで、外来種に関わる学術的なイベントや最新の情報を、当分の間このページをお借りしてお知らせします。情報をお持ちの方は鹿児島大学水産学部 山本智子(yamamoto@fish.kagoshima-u.ac.jp)までお知らせ頂けると幸いです。